Cultural Policies and Plunder of the Third Reich in Occupied Europe: Files of the Einsatzstab Reichsleiter Rosenberg, Kiev, Ukraine, 1941-1944
本コレクションは、第二次世界大戦中にナチス占領地域の文書や文化財、美術品の略奪を主要任務とした全国指導者ローゼンベルク特捜隊に関する文書を収録するものです。特捜隊に関する文書は欧米の多数の文書館に分散所蔵されていますが、中でも最大級の規模を誇るウクライナ政府・行政最高機関中央国立文書館(キーウ)が所蔵する文書約45,000ページを提供します。収録文書は東部占領地域ローゼンベルク特捜隊に関する文書を集めた Record Group 3676 と西部占領地域・オランダローゼンベルク特捜隊に関する文書を集めた Record Group 3674 で構成されますが、大半は Record 3676 の文書です。
全国指導者ローゼンベルク特捜隊は1940年、ナチスの理論家アルフレート・ローゼンベルクにより創設されました。特捜隊はナチスが敵とみなしたユダヤ人、共産主義者、フリーメーソンに対するイデオロギー闘争を主要任務とし、その手段として占領地の文書や文化遺産の略奪を試みました。ナチスのイデオロギー闘争の一環としての文化学術遺産の略奪は1942年のヒトラーの指令において公式に承認され、ローゼンベルク特捜隊はナチスの研究機関向けに占領地域で各種資料を押収する全権を付与されました。
収録文書は特捜隊の日常活動を伝える資料、新聞記事や雑誌論文、写真、特捜隊がナチスの諸機関や個人と交わした書簡等で構成されます。特捜隊の幕僚部と傘下の部局、略奪作戦を展開した各地の中核行動隊、占領地の研究と分析資料の作成を行った特殊幕僚の文書は、特捜隊の活動の実態を明らかにします。幕僚部と傘下の部局、幕僚部の指令と命令、書簡、計画書、報告書、中核行動隊への指示、会議録は、特捜隊の組織の内部構造を理解する上で重要です。
占領政策の一環として実施された様々な研究プロジェクトに関する文書は、ナチスのイデオロギーやプロパガンダを理解する上で不可欠の資料です。占領地の民族の心理、伝統、宗教、文化の研究には特に重点が置かれ、この研究成果に基づき、反ユダヤ主義と反共産主義と反フリーメーソンを核心とするイデオロギーが構築されました。
加えて、占領地の天然資源、人口、経済、社会、文化に関する情報が精力的に収集されました。これらの研究プロジェクトにはナチスの党員研究者だけでなく、多くの学者や知識人が参画しました。収録文書にはプロジェクトに参画した学者や知識人の人名が記載されています。
(マイクロ版タイトル:Ukrainian Archives: Cultural Policies and Plunder of the Third Reich in Occupied Europe: Files of the Einsatzstab Reichsleiter Rosenberg in Kiev (Central State Archive for Administration))
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- 第二次世界大戦