European Colonialism in the Early 20th Century: Political and Economic Consolidation of Portuguese Colonies in Africa, 1910-1929
19世紀後半、大不況に襲われたヨーロッパ諸国はアジア・アフリカ地域に自国の市場を確保するために、競うように海外領土拡張政策に乗り出しました。帝国主義時代の到来です。中でも、アフリカでの植民地獲得競争は激しく、1880年頃にヨーロッパ諸国の植民地であったのはごくわずかの地域であったのが、1910年頃にはエチオピアとリベリアを除く全域がヨーロッパ諸国の植民地もしくは保護国と化しました。第一次大戦がヨーロッパで勃発すると、交戦国の戦争がそのままアフリカや太平洋にも移し替えられ、アフリカのドイツ領植民地ではイギリス軍やフランス軍とドイツ軍が激しい戦争を繰り広げ、太平洋のドイツ領植民地は連合国の日本、オーストラリア、ニュージーランドにより占領されました。第一次大戦でドイツが敗戦すると、アフリカや太平洋のドイツ領植民地は国際連盟から委任される形でイギリス、フランス、日本等が統治し、植民地が再分割されました。1930年代にはイタリアが19世紀末に失敗したエチオピア侵略を再度敢行し、併合します。
本コレクションは、米国国立公文書館が所蔵する国務省一般記録群(RG59)のセントラル・ファイルの中から、アフリカ南東部のモザンビーク、アフリカ南西部のアンゴラからギニア湾の島々、大西洋の島々まで、ポルトガル領アフリカ植民地に加え、インド、マカオ、ティモールまで、世界のポルトガル領植民地の情勢に関する米国国務省の文書を収録します。
収録文書は、これらの地域に駐在した米国の大使、公使、領事と国務省本省との間で交わされた往復文書です。外交官の重要な任務は駐在地の国内情勢を国務省本省に報告することです。外交官の報告は、政治や軍事関係の出来事の報告、社会経済関係の統計データ、当地の政府高官や政治指導者との会談の議事録、法律関係の記録、大使、公使、領事が送受信した重要な書簡や電信の写し、雑誌や新聞記事の切り抜きや翻訳、当地政府のハイレベルの文書等で構成され、アメリカと駐在国の外交関係の形成過程を明らかにする貴重な史料であることはもちろん、政治、政党、人権、行政、政情不安、蜂起、革命、財政、金融、貿易、産業、天然資源、労働、住宅から教育、宗教、文化、治安、犯罪、公衆衛生、公共事業、国防、外交、戦争まで、駐在国の内政事情全般を時系列に、主題別に、包括的に記録したものであり、外交官の文書が基本的に自国の国益というフィルターを通して出来事が選別されるということでは説明しきれないほど広範な領域をカバーし、駐在国の政治史、経済史、社会史を研究する上で欠かすことのできない史料でもあります。加えて、植民地宗主国でも支配下の住民でもない第三の立場から記録したものとしても、第一級の史料的価値を持っています。
収録文書はすべて、米国国立公文書館のファイリング・システムに準じた文書番号が付与されています。国務省一般記録群(RG59)は、1910年から1963年まで十進分類法に則ったファイリング・システムによって整理されていたため、デシマル・ファイル(Decimal File)と呼ばれています。文書番号は、大分類番号(Class Number)+国番号(Country Number)+小分類番号(Subtopic Number)で構成されています。以下は、本コレクションに収録されている文書の大分類番号と国番号を組み合わせたものです。文書番号を検索語にして検索すると、当該番号が振られた文書のみ引き出すことができます。
20世紀初頭のヨーロッパ列強による植民地主義シリーズ:
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