Hollywood, Censorship, and the Motion Picture Production Code, 1927-1968
ハリウッド映画の映画制作倫理規定(通称プロダクション・コード)は1929年、映画業界誌の編集者マーティン・クィグリー(Martin J. Quigley)とイエズス会司祭のダニエル・ロード(Daniel A. Lord)によって制定され、翌年、米国映画製作者配給者協会(Motion Picture Producers and Distributors of America, MPPDA)により正式に採用されました。MPPDAの会長ウィル・ヘイ(Will Hay)の名前を取ってヘイズ・コード(Hays Code)とも呼ばれた倫理規定は、1934年に設立された倫理規定管理局(Production Code Administration, PCA)がその運用にあたりました。
倫理規定管理局は、倫理規定・レーティング管理局(Code and Rating Administration)に置き換えられる1968年まで、ハリウッドで制作されたほとんどすべての映画の検閲を行ないました。
1983年、MPPDAの後継組織、米国映画協会(Motion Picture Association of America, MPAA)は倫理規定管理局の文書集をカリフォルニア州ビバリーヒルズにある映画芸術科学アカデミーのマーガレット・へリック図書館(Margaret Herrick Library)に寄贈しました。文書集は40年間にわたるハリウッド映画業界における2万におよぶ映画作品に対する自己規制と検閲のドキュメントとして、1984年の公開以来、世界中の映画研究者の利用に供され、多くの書籍や論文を生み出して来ました。
本コレクションはその映画芸術科学アカデミー図書館の所蔵する2万作品の中から、映画史研究者レナード・レフ(Leonard J. Leff)の監修の下、マーガレット・へリック図書館の専門司書によって選ばれた500作品を選んで提供するものです。選ばれた作品は様々なジャンルに及び、様々な映画スタジオで制作された作品を含んでいます。有名な作品の他、重要な外国作品や独立系レーベルの作品も選ばれています。
管理局の文書集は最初に脚本が提出されてから作品が完成するまでの全プロセスをカバーしますが、コアとなる文書は映画スタジオやプロデューサー等の制作サイドと管理局スタッフや映画協会関係者との間の書簡です。また、劇場、政府機関、宗教団体等、作品の内容に関わる利害関係者との書簡も収録されています。
1930年代には東海岸で制作された映画を扱う管理局スタッフがニューヨークに常駐していたため、ハリウッドの管理局スタッフとニューヨークのスタッフの間の書簡も含まれています。管理局は女優の衣装を最終的に承認する権限を持っていたため、衣装の写真を審査用に受け取っていたはずです。残念ながら多くの作品に関して衣装の写真は残されていませんが、『女傑ベル・スター』『チャップマン報告』『バズビー・バークリーの集まれ!仲間たち』『紳士は金髪がお好き』『レディ・イン・ザ・ダーク』『ストーミー・ウェザー』等の作品については衣装の作品が残されています。
その他、新聞や雑誌や業界誌の記事やレビュー、州や連邦の検閲当局からの機密報告書、認可証、作品の登場人物とコンポーネントとストーリーの梗概をまとめた分析シート(おそらく特定の団体からの作品に対する抗議に備えて統計情報をまとめるために作成されたもの)を含む文書集は、ハリウッド映画に関する第一級の研究資料です。
(マイクロ版タイトル:History of Cinema, Series 1, Hollywood and the Production Code Administration)