Papers of Carlos Montezuma, M.D.
本コレクションは先住民の権利拡大運動の指導者カルロス・モンテズーマ(c.1867-1923)の文書を収録するものです。
先住民ヤヴァパイ族のモンテズーマはワサジャ(Wassaja)としてアリゾナ州で誕生しました。子供の頃、先住民の部族抗争の混乱の中で家族と離れ離れになったワサジャは、イタリア人移民に救われ、カルロス・モンテズーマとして洗礼を受けます。その後、医学を修め、医師の資格を獲得、連邦政府インディアン局(Bureau of Indian Affairs)で先住民向けの医療活動や医学教育に従事しました。
医療活動の傍ら、先住民の権利拡大に向けた政治活動にも従事するようになります。先住民の権利拡大運動の指導者として注目を集めるようになり、先住民による先住民のための全国組織、米国インディアン協会(Society of American Indians)を1910年に仲間とともに創設しますが、創設後まもなく穏健派との対立が表面化し、協会を離れ、1916年には自身のニュースレター『ワサジャ(Wassaja)』の刊行を始めます。
インディアン局での医師としての経験から、同局が先住民の生活の改善に貢献していないことを痛感したモンテズーマは、「わが民を解放せよ(Let My People Go)」を『ワサジャ』のスローガンとして掲げ、インディアン局の廃止、先住民の公民権拡大、先住民居留地の環境改善を正面から唱えます。『ワサジャ』はモンテズーマの死の2ヵ月前の1922年11月まで発行が続けられました。
米国が第一次大戦に参戦すると、先住民の招集に反対したモンテズーマは逮捕収監されます。ウィルソン大統領によって釈放され、インディアン局長官への就任を打診されるも、廃止を唱える部局への就任はできないと固辞しました。
本コレクションはマリア夫人との往復書簡をはじめとするモンテズーマの往復書簡、演説、エセーから、ニュースレター『ワサジャ(Wassaja)』のほぼすべての号、医学関係文書、財務文書、さらにはモンテズーマと交流を持った弁護士で先住民問題におけるモンテズーマの同志であったジョセフ・W・ラティマー(Joseph W. Latimer)がモンテズーマの死後、『ワサジャ』を継承する形で発行したニュースレターやインディアン局を厳しく告発したパンフレットまで、様々な文書が収録されています。収録文書は40以上の文書館の所蔵文書、60以上の新聞・雑誌から集められました。モンテズーマの生涯を通じて、20世紀前半における先住民をめぐる連邦政府の政策、権利拡大運動の諸相が浮き彫りになります。
(マイクロ版タイトル:The Papers of Carlos Montezuma, M.D.)
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- ネイティブアメリカン研究