Records of the Department of State Relating to Political Relations Between the United States and Chile, 1945-1959
本コレクションは米国国立公文書館が所蔵する国務省一般記録群(RG59)の中から、米国国務省の米国とチリの政治関係に関する外交文書約1,000ページを収録するものです。収録文書は米国国務省在外公館の外交官が国務省と交わした往復書簡です。
第二次大戦中に中立を保っていたチリは、戦争末期の1945年、枢軸国に宣戦布告します。戦後の冷戦下では、米州機構(OAS)の加盟国として西側陣営の一員となります。1945年から1959年の間、大統領を務めたのはフアン・アントニオ・リオス(1942-46)、ガブリエル・ゴンサレス・ビデラ(1946-52)、カルロス・イバニェス(1952-58)、ホルヘ・アレッサンドリ(1958-64)の4人です。1946年の選挙で政権を獲得したビデラ大統領は親米路線を取り、1948年には民主主義防衛法を成立させ、共産党を非合法化します。1952年の大統領選では1920年代末に強権政治を敷いた軍人のカルロス・イバニェスが当選しますが、経済の悪化により、1958年の大統領選で退陣を余儀なくされました。
米国は第二次大戦後の冷戦状況の中で、チリを南米における民主主義モデル国として、民主主義の価値を中南米や世界に広める上での重要な同盟国と位置付けました。この政策を進める上で当初は、チリ国内の極右勢力が民主主義に対する主要な脅威とみなされていました。しかし、グアテマラで反米政権が米国の介入により崩壊する1950年代半ば頃から、米国の政策を批判する社会党のサルバドール・アジェンデ上院議員が国内で一定の支持を集め、1958年の大統領選では敗退するも善戦、左翼が伸張します。このような状況の中で、米国はチリの左翼勢力を主要な脅威とみなすようになります。
本コレクションは米国国務省の外交文書を通じて第二次大戦後の米国の対チリ政策を浮き彫りにします。1970年にはアジェンデが大統領に就任します。チリの社会主義化を恐れる米国の援助を受けた軍事クーデタにより、1973年にアジェンデ政権は崩壊しますが、本コレクションはチリ・クーデタを理解する上でも貴重な資料集です。
(マイクロ版タイトル:Records of the Department of State Relating to Political Relations Between the United States and Chile, 1945-1959)
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関連分野
- ラテン系・ラテンアメリカ研究
- 政治学・外交研究