Records of the U.S. State Department: Nigeria, Political and Governmental Affairs, February 1963-1966
本コレクションは米国国立公文書館より、1960年代半ばのナイジェリアの政治情勢に関する国務省の外交文書を収録するものです。国務省一般記録群(RG59)は1963年2月に、それまでの十進分類法(Decimal File)から主題・番号分類法(Subject-Numeric Files)へファイリング・システムが変更されました。収録文書は、政治(POL)の大分類が与えられた約11,000ページの文書群を収録します。行動党のクーデタ計画が発覚した翌年の1963年から、2回のクーデタを経て北部のハウサ・フラニ人の軍人による軍政が始まる1966年までの期間の政治情勢が米国外交文書を通じて明らかになります。
ナイジェリアは1960年10月1日、北部・西部・東部の3地域で構成される連邦国家として英国からの独立を達成しました。連邦政府が排他的権限を持つ国防、安全保障、外交、通商、財政を除き、各地域は自治権を有していました。3大民族と言われる北部のハウサ・フラニ人、西部のヨルバ人、東部のイボ人を筆頭に約400の民族で構成され、宗教的にはイスラーム教徒の多い北部とキリスト教徒が多い南部に色分けされるように、民族・宗教・言語的に極めて多様な地域に英国が保護領を人工的に建設し、これを基に独立国家が形成された歴史を有するナイジェリアは、民族や宗教を原因とする地域対立を内部に抱え込んだ形で独立後の歩みを始めます。
独立後の政権運営を占う1959年の連邦議会選挙で勝利を収めた北部人民会議(Northern People’s Congress)の党首アブーバカル・タファワ・バレワ(Abubakar Tafawa Balewa)が独立後の初代首相に就任しました。独立後のナイジェリアは地域対立に加え汚職が蔓延し、政情不安が続きました。独立2年後の1962年には西部を基盤とする野党行動党(Action Group)の関与するクーデタ計画が発覚し、党首のオバフェミ・アウォロウォ(Obafemi Awolowo)が逮捕されます。1966年1月には東部のイボ人の軍人を中心とするクーデタが発生、バレワ首相や北部のハウサ・フラニ人の多数の軍人が殺害されました。同じイボ人のジョンソン・アギー=イロンシ(Johnson Aguiyi-Ironsi)が反乱軍を鎮圧し国家元首に就任、イボ人優遇政策を進めます。
しかし、半年後の1966年7月、今度は北部のハウサ・フラニ人の軍人がクーデタを敢行し、アギー=イロンシ以下、多数のイボ人の軍人が殺害されました。国家元首には北部のヤクブ・ゴウォン(Yakubu Gowon)が就任しました。このような状況の中で東部ではナイジェリアから分離独立する動きが起こり、1967年にビアフラ共和国として独立を宣言、連邦政府軍との間でビアフラ戦争と呼ばれる内戦が発生します。
(マイクロ版タイトル:Records of the U.S. State Department: Nigeria, Political and Governmental Affairs, February 1963-1966, Subject-Numeric File POL)
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