The Ford Administration and Foreign Affairs
ウォーターゲート事件によりニクソン大統領が任期途中で辞任したのを受けて、副大統領から昇格したフォード大統領はニクソン政権の外交政策を継承しました。ニクソン政権時代に調印に漕ぎつけたベトナム和平協定は戦闘を一時的に停戦したに過ぎず、米軍が撤退したベトナムでは北ベトナムと南ベトナムの戦闘が再開し、最終的に北ベトナム軍と南ベトナム解放戦線軍が総攻撃を仕掛け、1975年4月、南ベトナム政府は崩壊しました。ベトナムに止まっていた米国大使、大使館員、米国人に加え、多くのベトナム人が混乱の中、国外に脱出しました。ベトナムの共産主義化は周辺国にも波及しました。
ベトナムと同様に長く内戦が続いていたラオスでは、北ベトナムが支援してきた左派勢力が勝利を収め、1975年12月にラオス人民民主共和国が樹立されました。カンボジアでも、1975年4月に親米のロン・ノル政権が崩壊し、クメール・ルージュ(カンボジア共産党)が全土を制圧しました。カンボジアでは新政権成立後の1975年5月、カンボジア海軍が米国船籍マヤグエス号を砲撃、拿捕する事件が発生し、外交問題に発展しました。
アイゼンハワー政権以降、共産主義の波及を阻止するために米国が介入を続けたベトナム戦争は、フォード政権に至り、ベトナム、ラオス、カンボジアの三国の共産主義化という、介入当初の期待を大きく裏切る形で終結を迎えることになりました。
本コレクションは、フォード政権の外交・安全保障政策に関する文書を電子化したものです。電子化に際しては、マイクロフィルム版「ジェラルド・フォードと外交問題、第1部:国家安全保障補佐官文書(Gerald R. Ford and Foreign Affairs, Part 1: National Security Adviser’s Files (Primary Source Media)」の「第1篇:東アジア太平洋大統領国別文書(Section 1: Presidential Country Files for East Asia and the Pacific)」, 「第2篇:大統領の外国指導者との書簡・会談記録(Section 2: Presidential Correspondence and Conversations with Foreign Leaders)」, 「第4篇:アフリカ大統領国別文書(Section 4: Presidential Country Files for Africa)」, 「第5篇:ラテンアメリカ大統領・補佐官国別文書(Section 5, Presidential and Staff Country Files for Latin America, 1974-1977)」をスキャニングしています。東南アジアだけでなく、日本を含むアジア太平洋、アフリカ、中南米との外交に関する文書の他、大統領が諸外国の指導者と交わした書簡、会談記録も収録されています。
(マイクロ版タイトル:Gerald R. Ford and Foreign Affairs, Part 1: National Security Adviser’s Files, Sections 1, 2, 4, 5)