The Legal Battle for Civil Rights in Alabama: Vernon Z. Crawford Records, 1958-1978 Civil Rights Cases and Selections from the Blacksher, Menefee & Stein Records
本コレクションは、アラバマ州モビールを拠点に公民権裁判に関わった弁護士ヴァーノン・クロフォードと、その仕事を継承して公民権裁判に関わった3人の弁護士文書を収録、地方都市の公民権運動を法廷闘争から光を当てる資料集です。
ヴァーノン・クロフォードは1919年、アラバマ州モビールで生まれました。ニューヨークで法律を学んだ後、故郷のモビールに戻り、モビールの中でも黒人の多いデイヴィス通りに弁護士事務所を開設しました。クロフォードが顧問弁護士になった団体に公民権運動の団体である無党派有権者連盟(Non-Partisan Voters’ League)があります。強姦容疑で起訴されたウィリー・シールズ(Willie Seals)が、陪審員がすべて白人の裁判で死刑の評決を受けた時、無党派有権者連盟は控訴審の弁護士をクロフォードに委ねました。クロフォードはアフリカ系アメリカ人を陪審員から除外するのは憲法で認められた権利を侵害するものであるとして、誤審令状を請求、認められました。
シールズ裁判が先例となり、その後、南部において陪審員の人種統合が進みました。ナサニエル・テイラー(Nathaniel Taylor)が殺人の容疑で逮捕された時は、自供の信憑性が疑われたことに加えて、物証がなかったことから、容疑者は無罪となりました。シールズ裁判とテイラー裁判は、クロフォードと無党派有権者連盟の連携を強固なものとしました。
クロフォードは、黒人の地位改善に生涯を捧げた無党派有権者連盟のジョン・ルフロア(John LeFlore)とも協働しました。教育機関における人種統合にもクロフォードは関わりました。人種統合に反対するジョージ・ウォレス(George Wallace)が州知事を務めていたアラバマ州では、アラバマ大学への黒人学生の入学を巡り、入学を命ずる連邦裁判所及びこれを支持する連邦政府と入学を阻止しようとする州知事の間で対立が生じ、ケネディ大統領がアラバマ州兵を連邦軍に編入することによって事態を収拾する事態に発展しましたが、人種統合に向けたクロフォードの裁判闘争は南部でも特に人種統合に対する根強い反対が存在する土地で行われました。
本コレクションはサウス・アラバマ大学が所蔵するクロフォードの法律文書と個人文書、並びにブラックシャー・メネフィー・スタイン文書を収録するものです。ジェイムズ・ブラックシャー(James Blacksher)とラリー・メネフィー(Larry Menefee)とグレグ・スタイン(Greg Stein)はクロフォードの法律事務所で務めた後、独立して弁護士事務所を開設し、クロフォードを継承する形で公民権裁判に携わった白人弁護士です。地方都市での公民権運動の実態を法廷闘争から光を当てる恰好の資料集です。
(マイクロ版タイトル:Civil Rights and Social Activism in the South, Series 2: The Legal Battle for Civil Rights in Alabama. Part 1: Vernon Z. Crawford Records, 1958-1978 Civil Rights Cases / Part 2: Selections from the Blacksher, Menefee & Stein Records)
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