U.S. Military Activities and Civil Rights: The Military Response to the March on Washington, 1963
本コレクションは1963年のワシントン行進に関する陸軍参謀本部作戦部長室文書を収録するものです。デモ行進が暴動と化した場合の連邦政府の軍事介入計画を詳らかにし、ワシントン行進の出来事や参加した人々の動向を軍関係の視点から浮き彫りにします。
1963年8月28日、25万人を超える人々が全米からワシントンに集まり、職と自由を求めてデモを行いました。米国の公民権の歴史でも最大規模のデモであっただけでなく、様々な公民権団体が参加したという点でも稀有なデモでした。多くの人々は地元の公民権団体や教会を通してデモが実施されることを知り、「自由バス」や「自由列車」を乗り継いでワシントンに足を運び、デモに参加しました。デモ参加者のために特別に用意された列車は30車輛、バスは2000台に及んだと言われています。参加した約25万人のうち、白人は約6万人を数えました。ワシントン記念堂での集会から始まったデモはナショナルモールを経て、リンカーン記念堂をゴールとしました。リンカーン記念堂では著名な公民権指導者や宗教関係者が演説を行いました。
フィリップ・ランドルフは「皆さん、私たちは米国史上最大規模のデモに集結しています。ここに集った人々の数が意味するところを米国と世界の人々に知らしめましょう。私たちは圧力団体でもなく、組織でも組織の集まりでもなく、暴徒でもありません。私たちは職と自由のための大規模な道徳革命を担う前衛なのです」。「私には夢がある」との有名なキング牧師の夢と決意を語った演説はテレビ放送を通じて全米に伝えられ、白人と黒人は共存できるとの信念と人種の調和と愛のメッセージの象徴となりました。デモは暴動が発生するとの懸念を払拭する形で平和裏に行なわれ、米国公民権史の記念碑的出来事として長く語り伝えられることになります。
本コレクションは米国国立公文書館が所蔵する「陸軍参謀本部作戦部長室文書・国内騒乱関係ファイル・ワシントン行進、あるいは「険しい坂道」作戦関係文書(RG 319: Records of the Army Staff, Office of the Deputy Chief of Staff for Military Operations, Domestic Disturbance Files: Records of the March on Washington, or Operation “Steep Hill,”)」を収録するものです。
収録文書はデモ行進が暴動と化した場合の連邦政府の軍事介入計画を詳らかにします。陸軍参謀本部の通信記録や覚書は作戦部長室がデモ行進の計画段階から追跡し、ワシントン特別区の警察と協働しながら緊急事態が発生した時の対応を準備していたことを明らかにします。ワシントン行進の一連の出来事や参加した人々の動向を軍関係の視点から浮き彫りにする文書群です。
(マイクロ版タイトル:U.S. Military Activities and Civil Rights, Part 2: The Military Response to the March on Washington, 1963)
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