Seventeenth and Eighteenth Century Burney Newspapers Collection
- 2024年12月に新たに3万ページ以上を追加する第2部がリリースされました!詳細はこちら。
大英図書館の所蔵する、チャールズ・バーニー(1757-1817)旧蔵の著名な17~18世紀英国新聞コレクションをデジタル化したデータベースです。
本データベースに収録される最初期の刊行物は、「コラント」と呼ばれた1620年代の冊子形式のニューズブックです。その後、内乱期には議会派と王党派の対立が紙の戦争としてメディアの場に持ち込まれ、党派的色彩を帯びたニューズブックの刊行が相次ぎます。
ニューズブックではなく、一枚の紙に印刷されたニュースペーパーが初めて現われるのは王政復古期。最初のニュースペーパーと言われる『ロンドン・ガゼット』は官報の性格を帯びていました。
名誉革命を経て、17世紀末に出版検閲法が失効すると、多くの定期刊行物が創刊され、定期刊行物はコーヒーハウスやクラブとともに情報が流通、消費されるメディア環境の形成を促します。政府批判を行なう新聞も現われ、統制を行なう政府と報道の自由を求める新聞が対峙するという構図が生まれます。新聞の発行を継続するために広告収入に依存するようになったのも18世紀であり、広告専門紙も登場します。
18世紀後半には政府と新聞の先鋭化した対立を経て、議会をめぐる報道規制が緩和され、議会の審議が新聞の新しいコンテンツとして関心を集めます。18世紀後半には議会の審議、一般記事、社説、投書、文芸記事、広告をカバーし、現代の新聞に近い体裁をもち始めます。
本データベースは、ニューズブック、ブロードサイド、パンフレット、官報、文芸紙、論評紙、広告紙等から18世紀後半の日刊紙まで、約1,090タイトルの刊行物を通して、200年間におよぶ近代イギリス新聞発達史をたどるものです。
以下の全2部から構成されます:
《第1部》
- バーニー・コレクションのほとんどを収録する本体モジュール
- マイクロフィルムからのスキャニング
- 約1,070タイトル・91万ページ以上
- 収録年代: 1604-1804
- 2007年10月リリース
《第2部》
- 第1部未収録の資料をあらたにデジタル化した補遺モジュール
- 以下の2種類の資料を収録:
- バーニー・コレクションのうち第1部に未収録の1,730号・約6,100ページ
- チャールズ・バーニー収集ではない、同種の新聞・パンフレットを集めた「Additional Burney」コレクションより、バーニー・コレクションとの重複をのぞいた5,929号・約26,000ページ
- 原本からのフルカラースキャニング
- 約240タイトル(うち約90タイトルは第1部未収録)・32,000ページ以上
- 収録年代: 1628-1825
- 2024年12月リリース
※オックスフォード大学ボードリアン図書館ニコルズ旧蔵17~18世紀新聞コレクションも併せてご検討ください。
【関連エッセイ】モイラ・ゴフ(大英図書館)「大英図書館所蔵バーニー新聞コレクションについて」(日本語訳)
《バーニー/ニコルズ初期英国新聞コレクション*》ウェビナー録画を見る
※ 大英図書館所蔵 バーニー収集 17世紀~18世紀 英国新聞コレクションの他に、ボードリアン図書館所蔵 ニコルズ収集 17世紀~18世紀 英国新聞コレクションの2商品を紹介するウェビナーの録画です(約16分・チャプターあり・スライドはこちら)
《主な収録紙》
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Weekly News(1622)本コレクションに収録される最初期の「新聞」。冊子であるためニューズブック、あるいはフランス語由来のコラントと呼ばれた。国内のニュースは禁じられていたため、30年戦争など外国の記事が中心。イギリスの新聞の起源。
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Oxford Gazette / London Gazette 従来のニューズブック等の冊子形式ではなく一枚の紙に刷られたニュースペーパーで、イギリス最初の新聞と称される。主に政府の布告を掲載し、官報の色彩が強い。
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Flying-Post(1695-1731)/ Post Boy(1695-1728)/ Post-Man and the Historical Account(1695-1729)3紙は出版検閲法失効直後に発行された最も成功した新聞。
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Athenian Mercury(1697)ジョン・ダントン創刊。読者からの質問に答えるお悩み相談欄を取り入れた最初の新聞と言われる。
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Daily Courant(1702-1735)イギリス最初の日刊紙。
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Evening Post(1710-1730)イギリス最初の夕刊紙。
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Examiner(1710-1715)スウィフトが編集。
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Tatler (1709-1710)リチャード・スティール創刊。ニュース、政治から生活、都市風俗、道徳、文芸評、劇評、広告まで世事万般を取り上げた。
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Spectator(1711-1712)18世紀を代表する雑誌。時評・文芸誌。タトラー廃刊後、スティールがジョゼフ・アディソンと共同で創刊。
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Rambler(1750-1752)サミュエル・ジョンソンが発行。
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Covent-Garden Journal(1752)ヘンリー・フィールディングが創刊。本誌を舞台にジョン・ヒルとの「紙の戦争」を演じた。
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London Chronicle or Universal Evening Post(1757-1800)新聞と文芸誌と書評誌を兼備。ジョンソンの著作を刊行したロバート・ドッズリーが関わり、ジョンソンお気に入りの新聞だった。
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Public Advertiser(1752-1793)政府を批判する匿名の手紙"Letters of Junius" が人気を博した。1760 年代の最重要日刊紙。
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Morning Chronicle(1770-1800)18 世紀後半の代表的日刊紙。議会でのメモが禁じられていたため、傍聴席に陣取り、超人的記憶力で議員の発言を記憶し、記事にしたとの伝説で有名なウィリアム・ウッドフォールが創刊。
《チャールズ・バーニーについて》
チャールズ・バーニー(1757-1817)は同名の音楽学者を父にもち、教員として教育に携わる傍ら、在野の学者としてギリシア・ローマの古典やイギリス演劇の研究に従事、自身の研究用資料として、古典作家の刊本やイギリス演劇史等の資料の収集に努めました。特に収集に情熱を注いだのが近代イギリス定期刊行物で、バーニーの死後、その定期刊行物コレクションの資料的価値を認めたイギリス庶民院はコレクションを買い取り、大英博物館に寄贈します。大英博物館の収蔵するところとなったバーニー・コレクションは、17世紀、18世紀の新聞コレクションでは最大規模のコレクションとして、世界の研究者にその名を知られています。